[イカが光る]光生物学の世界

国内の研究機関はどうしても風通しが悪く、「アカデミアの闇」というような単語は随所で目にします。
しかし「闇」ばかりに目を向けず、そこに確かに存在する「光」に注目することも大事なのではないでしょうか。

そんな訳で、「光」に着目する生物学分野である「光生物学」に関し、新進気鋭の研究者お二人の研究内容に触れつつ解説いたします。

また、前回の記事でも触れましたが、株式会社tayoではtayo.jpのオンラインイベント版である、「tayo meeting vol. 1 光生物学」を開催致します。

お二人の先生に登壇いただくので、ご興味ある方はぜひご参加ください!

「tayo meeting vol. 1 光生物学」
日程: 7/19日 19:00-
登壇者: 吉澤晋先生(東京大学准教授)、成川礼先生(東京都立大学准教授)、熊谷洋平(株式会社tayo)

参加登録フォーム

光生物学とは?

「生物による光利用」として最も有名なのは植物の光合成による有機物の固定です。
しかし、生物が光を利用するメカニズムは光合成だけではなく、非常に多様な生き物が多様な光利用システムを持っています。

人間が物を見ることができるのは、目に存在する光受容体であるロドプシンというタンパク質が光センサーの役割を果たすからです。

ロドプシンは微生物においても存在し、センサーだけでなく、エネルギー生産や光エネルギーを用いた物質の輸送など、様々な役割を持っています。

また、様々なタンパク質がGAFドメインという光受容を行う部分を持つことが発見されていますが、その多くの機能は未だ謎のままです。

さらに、「生物による光利用」のもう一つ大きな方法に「発光」があります。ホタル、チョウチンアンコウ、ヤコウタケなどの大きな生き物だけではなく、細菌などの微生物でも発光は比較的ポピュラーな現象です。

このような生物の光利用メカニズムは生物学的に面白いだけではなく、医学分野にも様々な応用がなされています。ノーベル医学・生理学賞を取ったオワンクラゲのGFPが有名ですが、近年は光感受性のタンパク質を利用して細胞を操作する「光遺伝学」という手法も注目を集めています。

オプトジェネティクスにより、光でマウスの神経細胞を刺激し特定の行動を誘発することなども可能に。
©2014 John Carnett/Popular Science.

多様な生物がなぜ、どのように光を利用しているのかを研究し、その応用を目指す「光生物学」。今回は、新進気鋭の2名の光生物学者にお話いただけることになりました。

登壇者紹介: 成川 礼 先生 (東京都立大学准教授)

光を当てると色が変わる不思議なタンパク質、「シアノバクテリオクロム」の発見者である成川先生。
以下の動画で青->赤の色の変化が確認できます。

確かにすごくはっきりと変わっています!

成川先生は新たなシアノバクテリオクロムの探索や生化学・分光学的解析などの基礎研究と、オプトジェネティクスにおける応用を見据えた応用研究を両軸で行なっています。

また漫画読みでもあり、公式HPによるとお勧めの漫画は「イムリ、ペット、刻刻、クジラの子らは砂上に歌う、僕だけがいない街、ピアノの森、他多数」だそう。上記の動画をはじめ、アウトリーチも積極的に行なっておりTwitterのフォロワー数が7000人を超えるSNSのスターでもあります。

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登壇者紹介: 吉澤 晋 先生 (東京大学准教授)

海洋微生物の発光や、光利用メカニズムを研究する吉澤先生。
魚の腸内などには発光細菌が多く生息するため、スーパーで買ってきた魚からも、ビカビカに光る発光細菌がたくさん取れます。

この動画もなかなか衝撃的。イカが光っている・・・!
スーパーで買ってきた海産物を常温で放置したのち暗室で見るだけなので、(腐敗臭に我慢できるのなら)お子様の自由研究にも良さそうです。

このようにキャッチーな発光細菌の研究も続けつつ、メインで取り組む研究テーマは「微生物型ロドプシン」。

海洋を中心に様々な環境から光利用タンパク質であるロドプシンを探索し、その生理生態学的機能や環境における役割、オプトジェネティクスへの応用まで幅広い研究を展開しています。

また、かつては画家志望だったり、京都でストリートミュージシャンをしていた経験など、アートにも通じる多彩な先生です。

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イベントのお知らせ

というわけで、成川/吉澤両先生のお話しが聞けるオンラインセミナーを開催いたしますので、皆様是非お気軽に参加申し込みをお願いします。

大学院の進学先を検討中の学生はもちろん、光微生物の面白い話を聞きたい全ての人のご参加を歓迎いたします!

「tayo meeting vol. 1 光生物学」
日程: 7/19日 19:00-
登壇者: 吉澤晋先生(東京大学准教授)、成川礼先生(東京都立大学准教授)、熊谷洋平(株式会社tayo)

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*MPUF XRCCというVR学会システムを作っているMPUFと提携し、「MPUF R&D Innovation 研究会 研究開発プロフェッショナルの流儀」 というセミナーシリーズの枠をお借りし、開催いたします。