皆様初めまして。福永しおりと申します。いつもは千葉大学の博士前期課程2年に所属しており、ラドンガスの観測を行っています。今回は6月29日および30日に開催された社会実装若手の会について感想をレポートしていこうと思います。いろいろ書いていますが結論を言うと非常に面白い会でした‼
編集部注:会の参加者向けのdiscordでイベントレポートを書いてくれる人を募集したところ福永さんが手を上げてくれたのでお願いしました。特にうちのスタッフとかではなく一般の参加者の方です。そのままの味をお届けするために編集部からのコメントは注釈の形で記載しようかと思います。(文責:熊谷)
1. 参加を決めたきっかけ
いつもは家だったり研究室だったりで生活をしていますが、私の基本的な生活空間はこの二つだけに集約されているため、自身を取り巻く環境としてはエコーチェンバーで全てが完結している状況です。そのため残り約1年の博士前期課程を過ごすにしては非常に勿体なく感じていました。そんな中、tayoのメールにて社会実装若手の会の案内が届き、最初は人脈作りのために参加を決めました。このため正直に言うと最初はこの会で何をするかよくわかっておらず、様々なバックグラウンドを持った研究者の方々と出会えたらいいなという軽い気持ちで参加しました。
2.参加者内訳
内訳を性別、課程で見ると以下の通りとなりました。
体感ですが現地参加者は生命系出身(医療、薬学含む)の方々を中心とした理系の方々や文学や経済といった文系出身の方がいらっしゃるという印象でした。それにしても、こうやって見ると男性参加者が多いことがわかりますね…
男女比率の是正は結構頑張ったんですが力及ばずでしたね・・・申し訳ないです
3.実施日、開催された場所
実施日は6月29日と6月30日の2日間で、場所は上郷・森の家(〒247-0013 横浜市栄区上郷町1499-1)にて合宿形式にて行われました。森の家の最寄りは京急線の金沢八景駅ですが、そこからバスで約20分揺られた後10分程度かけて歩きました。
バス停は”森の家前”と謳いながら実際は坂の上にあるので公共交通機関を使っていく際はなるべく荷物は軽くしてから行かないとキツいです。運動不足の体にはあの坂は応えました…
宿舎の内装はこんな感じでした。
当方は少年の家みたいな合宿所を想像していたためきれいでびっくりしました‼また大浴場には露天風呂もあってなかなか豪華でした。
4.1日目(6月29日)
1日目は13時開始でした。私は1時間前くらいについてしまったので受付が始まるまでその場にいた参加者の皆さんと雑談したり、tayoのデジタル名刺を交換して過ごしていました。
弊社のデジタル名刺を参加者全員に配り、参加者間でデジタル名刺を読み込んだ関係をリアルタイムで感知し、ネットワーク図を図示するという取り組みを行いました。名刺交換というリアルでアナログな繋がりがdiscordに即時通知・可視化される設計は結構体験として面白かったのではないかと思います。福永さんはネットワークの中心にいますね。ありがたいです。
4-1.自己紹介
受付を済ませCEOである熊谷洋平氏による本会の目的の説明があった後、参加者による自己紹介(自分の所属、研究しているあるいはしていた内容、その他面白エピソード等)タイムが設けられました。皆さん様々なバックグラウンドと面白エピソードを交えた自己紹介をされておりこの時点で会に対する期待は高まっていきました。
4-2.招待講演
参加者の自己紹介を終えた後は緒方法親氏による招待講演がありました。講演は緒方氏の軽妙なトークによって進んでいきました。カレー屋で知り合ったおじさんをきっかけに養殖鯉のビジネスを始めた話のほか、お金をかけても鯉は逝くときは逝くといったビジネスに関する苦労話、研究に関する意識(や企業やアカデミアの闇)のお話もされており非常に勉強になりました。特に「研究は基礎から説明しなければならない」とのお話は自身の研究にも繋がるところもあって非常に印象に残りました。発表修了後の質問タイムはもちろんのこと、参加者専用のディスコードチャンネルも非常に盛り上がり楽しかったです。
緒方さんの招待講演に関しては多分上記の文章を読んでも何の話かよくわからないと思いますが、実際にそういう話だったのでしょうがないです。ただ、参加者は異様に盛り上がりました。
4-3. 社会実装脱出ゲーム
部屋のチェックインを済ませた後は今回のメインイベントである”社会実装脱出ゲーム”が開催されました。ここでは参加者が8班に別れた後、沈みゆくアカデミアから脱出すべく最もお金にならなさそうな研究をしている人を中心にどの様な手法でお金にしていくかをみんなで話し合おうという会でした。私の班は中性子星を研究している方が中心となり、一見お金にならなさそうな中性子星研究も、そこに付随する研究を巻き込んでコミュニティを作ればマネタイズにつなげていくことも可能なのではないかとの結論を出すことができました。特に印象的だったのが、チームの皆さんが積極的に意見を出し合っていたところで私は途中でついていけなくなりました…私も様々な事象に対して自分の意見を適切に表現する訓練を積まねばと思えるいい機会で楽しかったです。他の班ではミミズのゲームを流行らせてみたり、介護者のクオリティを上げるためのスキームを作ってみたりと様々な工夫でマネタイズしようとしている参加者がいて非常に面白かったです‼
なお本来であれば一番いいアイデアを出したグループに景品をあげるというのが通常のやり方ですが、選択と集中はクソだということで各チームで一番貢献した人に景品を上げるというルールになっていました。私の分野も選択と集中による影響を受けているのでとても良い行いだなと感じました。オンライン参加者の方はいったんここでお別れしました。
イベント用に作った画像が出てきたので貼っておきます。
4-4.BBQ及びtayo決算報告書発表会
無事(?)沈みゆくアカデミアから脱出した後は、いよいよお楽しみのBBQでした。BBQ会場は周りが森に囲まれており、時たま鳥の鳴き声が聞こえる自然豊かな雰囲気の中で、皆さんコンロを囲みながら自身の研究の話や事業の話などをしていました。私は外でBBQを行うのはこのイベントが初めてだったので初めての経験で、2時間あったBBQタイムがあっという間に感じられました‼
またこのBBQの最中にtayoの決算報告を眺める会が行われておりました。ここではtayoが中小企業でありながらも奮闘している姿を見ることができました。特に、とある事件が起きた2024年の4月から急激にアクセスが増えているグラフを見たときは、非常に顕著な増加を示しており恐怖さえ感じました(笑)。ただ私は、決算報告を見る機会があまりなかったため正直難しくて後半はよくわかんなかったです(とにかくお肉がおいしかったです)。
4-5. キャリアポーカー
BBQでお腹も心も膨れたところで1日目最後のメインイベントである「キャリアポーカー」が行われました。このポーカーは「技術者が自身の専門を活かしてそれぞれの能力を最大限発揮しビジネスで社会貢献できるようにする」というビジョンのもと、開発者の猫壱氏の経験を踏まえて開発されたカードゲームです。
参加者の皆様の声を聞くと、麻雀やポーカーのルールを理解している人は比較的理解しやすかったということでした。私はどちらも未経験でしたが、それでも窓際族になるのにも一苦労する人もいればCEOになる人もいて非常に楽しかったです。また、アビリティカードやイベントカードを入れると予想外の展開が起きたりして、楽しむことができました。キャリアポーカーは4班に別れて行われましたが、別の卓では遊戯王みたいにして遊んでいたりして大盛り上がりでした。
5.2日目(6月30日)
2日目は9時スタートでした。女子チームは7時ごろには目が覚めていたため間に合いましたが、男子チームの中には夜まで話が盛り上がったところもあって少し眠そうな人もちらほらいました。
また始まる前の時間で森の家周辺をお散歩した方もいらっしゃり、素敵な写真を撮って共有してくれました。
5-1. 一般発表
一般発表では5人の方々が登壇し、メタサイエンスを用いて科学のより良い仕組みを作っていく話や、幅広いコミュニティ運営を行っている話、中高生の研究コミュニティ運営をしている話や読書会を運営されている話といったように非常に幅広い分野の講演を聞くことができました。特に私が印象に残った話は自身が勉強していた分野を活かして、障害を持った方にもわかりやすい災害時の看板を安価に作るプロジェクトを進めている方の話はきっかけ(ぼったくり価格で看板を売る連中が許せない)がすごく良くて感動しました。
5-2.エフェクチュエーション
2日目の最後はエフェクチュエーションについての話で少し難しかったです。エフェクチュエーションとは2008年ごろに台頭してきた考え方で、今まであった目的達成のためのプロセスを踏む活動ではなく、今自分が持っているツール(知識であったり方法論であったり)を自分のおかれているシチュエーションに合わせてどのように使っていくかを考えていく意思決定の理論とのことです。登壇者様は今の経営者の主流である、目的ありきの行動では生きている間は目的達成の成功や失敗に追われ続けるだけではなく、予想以上のものは生まれにくいと話されていました。
確かに今までの我々の行動を鑑みると、いい大学に受かるために勉強するであったり私の場合は修士号を撮るために研究をするだったりと目的ありきの行動になってしまうことがほとんどでした。しかし、この方法を取り続けているといつかは行き詰ってしまうことでしょう。そうではなく、自分が今置かれている状況をいかにして自分のものにするかを考えていくことで今後の人生を生きやすくなっていくのではないでしょうか(間違えていたらごめんなさい)。
僕も完全に理解していないのですが、おそらく合っています。目標の達成を一直線に目指すのではなく、目標を動的なものとして捉えるような感じでしょうか。緒方さんの招待講演と並び、本企画は参加者アンケートで特に評価が高かったです。
6.参加してみた感想
今回のイベントは研究室に閉じこもっているだけでは会えないような多様なバックグラウンドを持つ方々が参加しており、その方々と休憩中や朝ご飯を食べているときに会話することができて非常に有意義な時間を過ごすことができました(余談ですが、当方24にして芸術工学やScience of Scienceという学問があることを知りました)。非常に楽しかったです。今回は初回だったということもあり女性参加者が少なかったのですが、研究の話やデジタル名刺の交換を通して参加者の皆様と仲良くなったり親睦を深めたりして非常に楽しかったので全人類参加すべきだと思いました。特に博士課程に進みたい修士の学生の皆さんは積極的に参加すべきだと思います。私は修士を卒業したら就職しますが、それでも志を持った学部生の方々や同学年との交流は私にとって素晴らしい経験になりました。今度行うときは大阪で行うらしいので関西在住の皆様や今回参加を見送った皆様はぜひ参加してみるといいのではないでしょうか。
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