[連載企画]生物学 x 情報学①生命情報科学とは?

皆さん初めまして!生命情報科学若手の会です。
この度縁あってtayo magazineで生物学 x 情報学に関する連載企画をスタートすることになりました!

…と突然言っても「そもそも生命情報科学って何?!若手の会???」という盛大なツッコミを受けそうなので、まずは生命情報科学についてご紹介します。

What is “生命情報科学“?

生命情報科学(英語でバイオインフォマティクス)とは、名前から分かる通り「生命科学」と「情報科学」を組み合わせた学問のことです。生物を構成するゲノム情報や個々の遺伝子、タンパク質に関する膨大な生命科学的な情報を用い、情報科学的なアプローチでデータ解析を行うことによってデータの背景にある生命現象を明らかにしようとしています。シンプルに言うなら、「生物に関するデータをパソコンで解析する学問」となります。

この文章を読んでいる方々の中で「生物に関するデータってなんでもありじゃん?!」となったそこのあなた。鋭い。実際に生命情報科学には様々なバックグラウンドの研究者が携わり、多種多様な研究を進めています。具体的な例として、我々生命情報科学若手の会の運営陣の研究テーマを見てみましょう。

コアメンバーの研究テーマ

西村瑠佳

縄文人由来のゲノムデータ中に存在する古代ウイルスの存在と進化の解析を行なっています。縄文人の歯から取られたDNAデータに対して、既知のウイルスと類似のデータがあるかどうか調べるといった解析をしています。

福永秀蔵

タンパク質工学における機械学習の効率化を専門としています。例えば、生体内で物質Aから物質Bが作られており、タンパク質Eはその反応がスムーズになるよう助ける役割をもっているとします。A→Bの反応の速度を早くするために、Eを改造したい!となったとき、通常では専門家が職人技的にEの一部分ををいい感じに改良します。ただこれだと知識・経験への依存が大きく素人では難しいので、機械学習を用いてどんな風に改造をすればどれくらい良くなるのか予測するモデルを構築しようと頑張っています。

atsu

2本以上のDNAがあると、それらがどのくらい似ているのかを比較してみたくなります。そこで、高速な比較アルゴリズムについての研究、開発をしています。

これだけでも分野の多様性がお分かりいただけるのではないかなと思います。つまり、生命情報科学研究には分野を横断した広範囲にわたる知識が必要とされるのです。

What is “情報科学若手の会“?

生命情報科学に関する紹介はいくらでも続きそうなので、一旦これくらいに留めて我々の団体の紹介をさせていただきます。

生命情報科学若手の会は、生命情報科学関連の研究をする若手研究者や学生を中心に2009年に設立された団体です。既に設立から10年以上経ち、有志の運営メンバーが大きく入れ替わりながら今に至ります。現在は学部3年〜ポスドクの10名で運営を行なっています。

具体的にどのような活動を行なっているかというと、設立より毎年1回ずつ開催される研究集会の運営がメインの活動になります。コロナ前は2泊3日程度で全国の大学・研究所から若手研究者や学生30名程度が一堂に会して、朝から夜遅くまで(朝早くまで)各々の研究に関する議論に話を咲かせていました。写真は2019年の年会の写真です。

一方でここ二年ほどはオンラインで同様の研究集会を行っています。特に昨年はオンラインの良さを活かしてウイルス若手の皆さんと研究集会を共同開催し、総勢60名で生命情報科学とウイルス学の研究者の橋渡しになるような研究会を開催しました。企画内容としては、学会のような研究発表はもちろんのこと、数名程度の少人数のグループに分かれて自身の研究を紹介し合って意見を出し合うものから、生命科学の未解決問題に対する研究案をディスカッションするもの、研究絡みの悩みを共有し合うものまで多岐に渡ります。これらの企画内容はその年毎の目的に応じて変わると言ったところです。

元々一参加者だった筆者が考える、若手の会の研究集会に参加することで得られるメリットは大きく3つほどあります。

1つは若手の参加のしやすさ。学会だとある程度まとまったデータがないと参加・発表しにくく、研究を始めたばかりの学生には若干ハードルが高いのですが、我々の研究会では「これからこんな研究をする予定だ」、「こんなことに興味がある」といったふわっとした内容でも参加できるようになっており、学部生の参加率も高いです。(昨年の参加者は1/4が学部生)昨年度は中学生の方からもご参加いただきました。

2つ目はラボや大学の垣根を越えたつながりができること。小さな研究室にいると中々外部とのつながりを作り難く、一人で悩むことも増えがちです。しかし、若手の会で様々なバックグラウンドの方と議論することで知見が広がることはもちろん、新たなコミュニティに参加することができるようになります。例えば筆者は若手の会を通じて知り合った方にお誘いいただいて2種類くらい外部の輪読会に参加しています。

3つ目は多岐にわたる研究を学べること。先ほど「生命情報科学研究には分野を横断した広範囲にわたる知識が必要とされる」と述べたのですが、他人の研究発表を聞くことで一人ではカバーしきれない知識を得ることができるのもメリットです。

要は、「参加ハードルが低いのに、研究者ネットワークや知識を増大できる最強の集まり」と言うことです。

ここまで長々と生命情報科学若手の会が何であるのか説明してきたわけですが、今後定期的にtayo magazineにて生命情報科学関連の話題についてご紹介させていただく予定です!これらの文章を通じて少しでも生命情報科学や私達若手の会にご興味を持っていただけたら幸いです。いつか研究会や勉強会で皆様とお会いできるのを楽しみにしております!

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