謎のwebサービス「院生マッチ」運営インタビュー

「研究者の恋愛」という問題

古のアカデミアには、「三冠王」という言葉が存在していました。
三冠とは、「博士号」「終身雇用」「結婚」を指し、これらすべてを成し遂げると三冠王と呼ばれます。

無論これらが大事かどうかはどれも個人の価値観次第。今の感覚からするとこの三つを並列に並べることにも違和感はあります。しかし、結婚や恋愛は今も昔も研究者にとって、博士号取得やポストの獲得と同様に難しいことであり、興味の尽きないテーマであるのでしょう。

さて、2021年3月、このような「研究者の恋愛」という問題に切り込む革新的なプラットフォームがリリースされました。

大学院生専用のマッチングアプリ、その名も「院生マッチ」。

日本の大学院生はおおよそ25万人程度。もし全体の1%が登録したとしても2500人です。マーケット規模などを考えると採算を取るのはかなり困難そうです。
マッチングアプリは月額数千~1万円程度の利用料が一般的なのでそれぐらい対象を絞ってもマネタイズができるのかもしれませんが、なんと院生マッチは利用料が完全無料。

密かな盛り上がりを見せる院生マッチ

HPやTwitterを見ても運営母体についての情報は得られず、なんらかの法人が運営しているわけではない様子。しかし一方「インターネット異性紹介事業」の届出や、学生証による登録者の本人確認などは行なっているようで運営には本気度が見られます。

私が運営している大学院の進学情報提供サービスである「tayo.jp」も言ってみれば研究室と学生のマッチングアプリであり、「儲からなそうなことを本気でやる」点に強いシンパシーを覚えます。

一体、誰がどのようなモチベーションでこのような尖ったwebサービスを作り上げたのか?

tayo magazine編集部は謎のヴェールに包まれた院生マッチの運営開発者へのインタビューに成功しました。

「院生マッチ」運営インタビュー

くまがい
くまがい

tayo magazine編集長のくまがいです。本日はよろしくお願いします。

よろしくお願いします!

院生マッチ運営
院生マッチ運営

—まずお聞きしたいのですが、ズバリどういう人達が運営しているんですか・・・?差し支え無い範囲でお伺いできればと思います。

基本は私一人です。

私は物理系の修士学生で、研究の合間に院生マッチの運営開発をしています。

ずっと一人でやっていたんですが、リリース後にセキュリティ関連の改善点に関して連絡をくれた方がおり、最近はその人にも手伝ってもらいながら開発をしています。

—なんとなくそんな感じかと思っていたのですが、それにしては運営ちゃんとしててすごいなと思います。本人確認とかもかなり大変かと思いますし・・・

採算度外視で趣味でやっているので続けられるのかなーと思います。維持費としてもいまだとサーバー代の数千円ぐらいしかかかっていないので。

—趣味としてマッチングアプリ運営するのめちゃくちゃカッコいいですね!院生マッチは現在どれぐらいの利用があるんでしょうか?

登録ユーザーが800人ぐらいで、メッセージ数は日によってムラがありますが累計すると6000ちょっと、という感じです。

—800人すごいですね。僕の所属学会の日本微生物生態学会は学生会員200人なので、余裕で負けています!笑 メッセージが6000ということは、結構アクティブユーザーも多いのでしょうか。

はい、Twitterでバズったおかげでひやかし気分で登録した人も多いとは思うのですが、結構使ってくれている人もいるようです。アクティブユーザーですが大体200人の方が一週間に一回はログインしています。

—分野横断型で800人の大学院生の登録を2ヶ月程度で集めることのできるサービスって、なかなかないと思います。やはり「無料のマッチングアプリ」という点と、「大学院生」に絞った点が受け入れやすかったのでしょうか?

そうですね・・・元々私もマッチングアプリをやっていたのですが、「いくらなんでも高い」という思っていて、院生マッチは無料で提供しています。

—元々マッチングアプリのユーザーだったんですね。差し支えなければそのあたり含め、サービス開発に至るモチベーションなどお聞かせ願えますか?

学部2回生のときにマッチングアプリを使って彼女ができたんです。その方は後に大学院に進学するような、アカデミア志向の強い人でした。結局別れてしまったのですが、「次付き合うとしてもやはり話の合う大学院生がいい」という気持ちは残りました。しかし、既存のマッチングアプリで探しても大学院生などはやはり非常に少数派で、なかなかマッチできそうにありませんでした。そんな個人的な体験から、大学院生の集まる出会いの場を作れたら面白いんじゃないかな、と思って院生マッチを作りました。

—個人的な体験に基づいて作られたサービスなのですね。しかしやはり個人的にやっていると、運営や維持など大変なのではないでしょうか?特に最近は大手マッチングアプリの個人情報流出などもあり、セキュリティ周りなどはかなり慎重にならなければいけないと思いますし。

法人で運営しているわけではないのでどうしても信頼を得るのが難しいのは痛感しています。それだけに個人情報の管理などには気を遣っていて、本人確認も学生証しか受け付けていません。また、アップロードされた学生証の画像も私が確認次第すぐにサーバーから削除することにしています。上述したセキュリティに詳しい方にも色々と助言頂き、ハッキング対策なども意識的に行なっています。その方はとある国公立の大学院でwebセキュリティについて研究する傍ら、セキュリティの脆弱性に関する大会に出場し何度も受賞されており、お手伝いいただけて非常に助かっています。

—院生マッチといえば、「研究タグ」機能が話題になっていました。普通にマッチングアプリを作るとこんな発想出てこないと思うのですが、どうしてこのような機能を作ったのですか?

現在だと女性の割合が約16%と、どうしても男性会員の割合が高くなってしまっています。なので、男女のマッチングだけでなく気軽に研究に関するコミュニケーションを取れるようなシステムにできないかな、と思ってこのような機能を追加しました。このような機能を発展させた、研究者専用のSNSの開発も構想しております。院生を含めた研究者が気軽に質問やコミュニケーションを取れたり、産学連携を含めた共同研究に繋がるようなSNSができればと考えてます。

—それは面白そうです!是非tayo.jpでも何か連携などできたらなぁと思います。院生マッチは最近学部生でも登録可能になったようですが、今後例えばポスドクなどでも利用可能にするなど、利用者の幅をもっと広げるなどは考えているのでしょうか?

是非是非、協力してもらえるとありがたいです!

利用者の拡大ですが現に医療系学部生の5、6年生やポスドクについても拡大を求める声は挙がっており、現在検討中です。

「趣味カテゴリー」まではよくあるマッチングアプリなのだが・・・

—本日は色々と貴重なお話、ありがとうございました。最後に、この記事を見ている人に伝えたいことなどありますでしょうか。

こちらこそ、わざわざインタビューして頂きありがとうございました。

院生マッチは男女の出会いに関するセンシティブなコンテンツで一種「気恥ずかしさ」をご利用時に感じられる方もいらっしゃるかもしれません。

ですが、心の拠り所になるような理解あるパートナーを求めることって僕は自然なことだと思っています。

いつか、「院生マッチで良いパートナーを見つけました!」っていう報告があれば嬉しいですね!男女比についての問題を解決しないといけないですが…笑

もちろん、友人探しや雑談目的、暇つぶしで利用されるのも大歓迎です!
そういった目的で使用されてる方もたくさんいます。

また現状では趣味として運営してる非営利のwebサービスですが今後の展望として、サイトに箔をつける意味でも、何かあった時に責任を取れるという意味でも法人化できれば良いなと考えていて、もしサポートしてくださる方がいたら連絡していただけると幸いです。

おわりに

いかがでしたでしょうか。

どうしても大学院生はコミュニティが狭くなりがちですし、アカデミア外の人達とは話が合わなくなりがちです。かといって恋愛や結婚などはセンシティブなテーマなので、研究活動や就職などに比べあまりサポートされることがありません。

パートナーをお探しの大学生や大学院生の皆さん、院生マッチを覗いてみてはいかがでしょうか?

院生マッチ、ログイン画面のイメージ

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