「迷ってるんだったらいけばいいじゃん、やりたいと思わなかったら迷わないでしょ?」(研究者にならなかった博士座談会)
博士進学、するの?しないの?研究者を目指す方は、少なからず迷うと思います。
「行きたいんだったら行きなよ!」というポジティブなメッセージはそりゃ大事なんだけど、「そうはいっても生活が・・・」というのも正直あるのでは。
そんな博士号取得後の研究者のキャリアに関して、新たなムーヴメントが生まれているのをご存知でしょうか。
Altac (Alternate Academic careers) という言葉、日本では聞き慣れない言葉ですが、#altacとツイッターで調べると、主に海外で研究者以外の博士の方々が自分のキャリアを#altacのハッシュタグとともに共有してるのが分かります。
本記事では、そんな「Altac」という言葉の歴史や用例から、博士の多様なキャリアに関して皆さんにお伝えしていきます。
Altacって何?
まだまだ「博士=研究者を目指す」が一般的なイメージ
冒頭でもお話した通り、「博士課程に進学=研究者を目指す」というのが一般的な認識ではないでしょうか。いわゆるアカデミックキャリアです。
しかし、アカデミックキャリアを歩み続けるのは一筋縄ではいきません。
・助教のポストは、空きが出ない限り公募が出ない。
・公募が出たとしても、倍率が高い。
・薄給・任期ありと不安定な雇用の中、ポスドク(博士後研究員)として生活。
ポスドク問題は日本のアカデミックのかなり深刻な問題の一つですね。
このような負の情報が前面に出てきており、
「博士をとったら安定的な雇用が得られないのでは・・・?」
「大学教員になれなかったら、ずっとアルバイト生活なのでは・・・?」
といった声もあります。
Altacとは、アカデミック研究者にならないこと。
それはさておき、今回の主題のAltacとはなんなのか?端的に言うと、
「Tenure教員(終身在職権を持つ大学等の教職員)以外のキャリア」です。
ノースカロライナ大学によると、Altacとは2010年にInside Higher Ed articleにて紹介された造語だそうです。
意味としては、博士の2種類のキャリアを表しており、
- 学術界の中で、Tenure教員(終身在職権を持つ大学等の教職員)以外での仕事。非常勤講師、有期雇用の教員、または管理職を含む。
- 学術界の外(民間等)で、研究職・管理職を務めること。
といった定義づけがされています。
①は研究室の管理や教授会の管理、非常勤講師として教育、書籍の出版の手伝いを行ったりと学術界に身を置きながら、Tenure教員とは違う身分であることを指すようです。
②の場合はよりイメージがしやすいと思いますが、学術界を出て企業での研究職やシンクタンク等で研究を行うといったキャリアのことを示すようです。
Twitterで紹介されていたAltacの用例
#altacとツイッターで調べてみると、自身のキャリアを発信している人がたくさんいましたので、一部を紹介します。
・米国の連邦統計機関の1つのThe National Center for Health Statisticsにて勤務
・バックグランドは、「研究心理学と統計学」
・同僚には、社会学、人類学、政治学、公衆衛生学、データ科学、疫学、数学統計学がいる。
・給料:114,000$ドル、福利厚生も充実
・フルリモートでフレキシブル制度(8時間/日で始業・就業は自由)
欧米では、博士を取りアカデミック外(企業・シンクタンク)でキャリアを伸ばしていく動きが活発です。そのほかにも、Altacのオンラインコミュニティがあり、情報を共有する場が発達しています。
日本ではどうなのか?
先ほど述べたように、実際日本ではまだまだ「博士課程に進学=研究者を目指す」という認識があります。このように日本では、Altacという言葉が一般的でないのが現状です。
しかし、冒頭のお話のように「研究者にならなかった博士」は日本にも実際にいます。
博士号取得⇒企業・シンクタンク等での研究職のような選択肢があることを知っていれば、もっと気軽(いい意味で)に博士課程に進学することができるのではないでしょうか。
Altacセミナーのご案内
日本でもこの#Altacのように博士のキャリアがたくさん共有されるとよいのでは?
ということで、「#altac アカデミア以外の選択肢をいろいろ喋ろう」を開催します!
[こんな人におすすめ]
・博士課程に進学するか迷っている学生。
・博士取得後のキャリアの情報がほしい方。
[登壇者募集も募集しています]
・博士号を取得したが、アカデミック以外でキャリアを歩んでいる、興味がある方。
・「#Altac」ムーヴメントを日本でも起こしたい方。
・博士を気軽に取得する世界観に興味がある方。
★参加(聴講のみ)希望の方は、tayoイベントページから登録を登録をお願いいたします!
https://tayo.jp/recruitments/seminar/01GES0VKEW5VKVDYCNEBFRK3RD
★登壇していただける方は、Google Formへの回答、もしくはtayo公式twitter までご連絡ください!
・非営利のシンクタンク(American Institutes for Research)
・定量的研究者として勤務
(データの収集と分析を数値化して行うことに焦点を当てた研究)
・給料:95,000ドル(初任教授と同等)
・完全リモートワーク
Charlie Ebersoleさんはツイートの最後に、研究をしながらもポスドクとは違って安い給料ではないのが、魅力的な仕事だとコメントをしています。