この遺伝子、読めますか?「難読遺伝子」まとめ

突然ですが、難読遺伝子クーイズ!!!

この記事の目次の遺伝子の読み方、分かりますか?
みなさんからツイートで頂いた「難読遺伝子」をまとめていきます!

rrn

ルルンッ♪o((*•ω•))o

SHH

シイイイイ…???

ソニック・ヘッジホッグだと…?なんかハリーポッターとかに名家として出てきそうな名前ですね。本名めちゃくちゃかっこいいじゃないですか…???

ちなみに、これ、ショウジョウバエの胚の分節パターンをコントロールするという重要な役割を担っているのはもちろんですが、命名の流れもまた面白い!
この「ソニック・ヘッジホッグ」というのは、SEGAのキャラクターのソニックの本名「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」から来てるらしいです。エーーーーー!!!

てかこいつフルネームあったんや…

哺乳類のヘッジホッグファミリーは、3種類の相同遺伝子で構成されており、先に見つかった2種類は、デザート・ヘッジホッグ、インディアン・ヘッジホッグという実在するハリネズミの種類から命名されたそうです。(ヘッジホッグ=ハリネズミ)

デザート・ヘッジホッグ(プリティー🥺)
インディアン・ヘッジホッグ(こっちはなんかカートゥーンネットワークに出てきそうな顔しててかわいい。)

ここでなぜハリネズミかというと、ある研究でショウジョウバエにおける変異体スクリーニングを行なった際に、幼虫表面の剛毛が規則正しく配置されずハリネズミの毛のように体表面全体に散らばる変異個体を発見し、それをhedgehog変異体と名付けたことが始まりだそうです。そこからまさかソニック君まで話が広がるとは…。

その後の研究でこの変異は分泌因子をコードする遺伝子の変異によるものであることが明らかとなりましたが、のちに脊椎動物でも相同遺伝子が3つ発見されました。
ここでそれぞれのヘッジホッグ遺伝子のうち二つは実在するデザート・ヘッジホッグ、インディアン・ヘッジホッグ、そして発見者の好きなゲームのキャラクターであるソニック・ヘッジホッグと名付けられたそうです。
(なんだかウエスタンブロッティングの名前の付け方みたいなノリですね)

こう3種並べてみると、ブースター、シャワーズ、サンダース、みたいにこの遺伝子ファミリーがトリオ感を持って見えてきました!

fucK

一休さんか????的な頓知めっちゃ好きです

Fuculokinaseからf.u.c.kを採用したところにだいぶ命名者の悪意ありますよね。
L-Fuculokinaseって調べるとfucK gene & proteinと出てきて
「遺伝子とタンパク質なんて、死ね!!!!🥺」ってなってる試験前の学生みたいです。

Sohlh

Sohlhがコードする転写因子SOHLHは精母細胞や卵母細胞の分化に重要な役割を担っております。
余談ですが、SOHLH1とSOHLH2は、bHLHファミリーの一員とあったのですが、bHLHもそもそもなんと読むのでしょうか…?謎は深まるばかり…

ftz

フッッツッッズ…??子音ばっかでつんのめったような発音かと思いきや

ファッツと読むのか!”節足らず”って元の名前もなんだか可愛いですね。ftz遺伝子はキイロショウジョウバエの幼虫の分節化に関わっている遺伝子で、これが突然変異すると、幼虫は一つ飛ばしに体節を欠いた奇形になってしまうらしいです。ヒエ…😱

また、遺伝子ではないですが、キイロショウジョウバエは調べてみると愉快な名前の突然変異がすごく多いですね!以下は一部の例です。

ether-a-go-go エーテルで麻痺すると踊るように手を振り出す
bonsai 幼虫の発育が遅い
musashi 毛が1本から2本になる(二刀流なので)

ためになるショウジョウバエの話より(このサイトめっちゃ面白いです)


余談ですがftz遺伝子で調べると、キイロショウジョウバエの発生に関する講義資料がたくさんできます。この遺伝子は発生遺伝学のペアルール遺伝子の一例として取り上げられることが多いようですね。
これらを読んでいく中で、発生とは、何でもない球にすぎなかった胚に、前後正面背面という概念が生まれ、分節が生まれ、それぞれの分節に意味が付与されるというプロセスである…という大変興味深いストーリ−を知って筆者は感動しました。ただの球から全ての生物の身体が形成されていく奇跡のような過程はとても魅力的ですね!
ftz遺伝子はこのうちプロセスのうち、身体に分節を作る過程に関わっており、胚全体に発現していたftzが段々限局しバンド状になることにより、奇数番目の体節ができるそうです。

てか、キイロショウジョウバエの突然変異って結構えぐいですよね。触覚のところに足が生えるとか、目が身体中に生えるとか、アングラ演劇の世界線…?

ndk

えぬでぃーけー?…と思いきや…

プラナリアってみなさんご存知の通り、ぶちぶち切っても切っても一個体のプラナリアとして再生しますよね。理系の皆さんは、「切っても切ってもプラナリア」という本の存在を一度は耳にしたことがあるのでは!

過去には基礎生物学研究所とniconicoが共同で、「【切っても切ってもプラナリア】超再生の瞬間を200時間見守る夏の自由研究~ 基礎生物学研究所×niconico」と題しプラナリアの再生過程を約200時間にわたって生放送するとかいうやべえ狂った企画もあったほど、今では人口に膾炙した生物プラナリア。(ログをみると、めちゃくちゃ楽しそうな企画だ…)

視聴者参加型でプラナリアの名前を決め、みんなで観察するらしい!楽しそう!

そんなコミカルな魅力たっぷりのプラナリアですが、ではなぜプラナリアは切っても切っても再生できるのか?それは、

“プラナリアには、どんな細胞にも分化できる全能性幹細胞(万能細胞)が全身に分布していて、この万能細胞を自由自在に操ることによって高い再生能力を発揮しているから”

独立行政法人 理化学研究所報道資料より

だそうです。プラナリアのndk遺伝子を阻害すると、この万能細胞が脳の神経細胞に分化し、身体中脳だらけのプラナリアができてしまうそうです。
通常では頭部領域に特異的にNDKタンパク質が発現し、神経細胞の分化を促す受容体結合因子と結合することで、受容体結合因子が他の領域に拡散することを防いでいるそうです。しかし、ndk遺伝子が阻害されることにより、受容体結合因子が頭部以外にも拡散されてしまい、結果として脳が全身にできてしまう…ということだそうです。面白い!

プラナリアの持つ”体の極性(プラナリアを切ったときに頭側の部分は頭に、尾側の部分は尾になる)”の仕組みをになう興味深い遺伝子、nou-darake遺伝子でした!

メダカの変異体名

みやびぃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!
魚のモデル生物としては、欧米ではゼブラフィッシュが使われることが多い中、こんな小粋な名前が多くついているのは日本で伝統的にメダカの研究が行われてきたからでしょうか。

日本ではモデル生物としてのみならず、観賞魚としての人気も高いためか、調べてみると一般向けのメダカ飼育に関するサイトにも品種改良のためのメダカの遺伝の仕組みに関する詳しい解説があったりして驚きました。どうやらメダカの変異って、日本各界隈でドメスティックな盛り上がりを見せている分野のようです。アツい。

日本人の筆者としては、せっかくなら国際的なモデル生物としてゼブラフィッシュよりもメダカに活躍してもらいたいところですが、この2者を差別化するところはなんなのでしょうか?筆者が調べたところ、以下の2点のようです。

  • メダカはゼブラフィッシュよりもゲノムサイズが格段に小さい。ゼブラフィッシュはゲノムの解読が終了していない一方、メダカは全ゲノムの完全解読が終了している。このため、遺伝子の機能を探るに当たってはメダカはとても便利。
  • メダカはゼブラフィッシュよりも生育温度の許容範囲が広い。ゼブラフィッシュは22~30度で飼育する必要がある一方、メダカは4~40度の水温に対応できる。このため、温度に依存した遺伝子のスイッチを導入することができ、遺伝子の機能を容易に調べられる。

参考元 https://storage.googleapis.com/natureasia-assets/ja-jp/ndigest/pdf/v5/n5/ndigest.2008.080522.pdf

こんなのモデル生物としてメダカを選択しない理由はありませんよね!?がんばれメダカ🌄

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