みなさま、大学院で土壌について研究している小林といいます。
前回、日本の掘りたい土壌について自分の願望を垂れ流す記事を書かせていただきました。
先日tayo magazineの編集長と話していて、
年末なのでグランプリを開催しましょう!
というよく分からない依頼を受け、今回N-1グランプリの開催に至りました。
N-1グランプリとは
N-1のNは「Nehori」のN。漢字では根ほり。
相撲を取るから相撲取り、根っこを掘るから根ほりです。
土壌の成り立ちを研究する際に、私たちは土壌断面というものを作成します。深さ 1 m ×縦 1 m ×横 1m程度の穴を掘り、現れた土壌の断面を観察します。そのときに、スコップで掘ったままだと土壌の断面がよごれていたり、斜めになっていたりして、色や構造がよく観察できません。
そのため、根ほり (こてとか、山菜掘りともいったりします)と呼ばれる土壌や植物を掘るための道具で断面を上から削っていきます。これを「断面を整形する」といいます。また、各層位から土壌サンプルを採取する際にも使います。
今回は僕の研究室で使っている根掘りを勝手に好みでランキングにして紹介します。
それでは第3位から、スタートです!
第3位 普通のやつ
第3位はこれです。
いたって普通のやつです。ただ、かなりやわらかいので曲がりやすく、特に粘土質の土壌を相手にするときには注意が必要です。とはいえ、学生実習や表層土壌の採取とかはこれで十分ですね。
第2位 研究室の秘蔵の一品
第2位はこれです。
赤くて古いやつです。3位の普通のやつは土壌研の共有の場所に置かれているのですが、これは別の部屋に大切に保管されているものです。詳しくはよくわからないのですが、違う製法で作られているらしくかなり丈夫です。粘土質の土壌でコアをとっても問題なし!!先端が台形になっているのも削りやすくて好ポイントです。現在はロット数の問題で販売されておらず、幻の一品になっています。再販してほしい・・
第1位 刃がついている物
栄えある、第1位はこれです。
1位はかなりごっついやつです。刃の片方にはのこぎりのようなギザギザが、もう片方にはナイフのような刃がついています。そのため、山での根が多い所での調査では、ちょっとしたものはこれで切れるので非常に使いやすいです。ただし、うっかりしていると手を切るので注意です。これは共同研究者の方が調査に持ってきていて、非常に使いやすかったので、僕の初めて獲得した研究費で購入した思い出の品です。畑には不向きですかね・・。思い入れ+便利さで1位にしました。
おまけ:土の削り方の流派
土壌断面を削る方法には2流派あることが(冗談半分に)言われています。
一つは画像の左側の根掘りを縦に持って削る方法、もう右側の一つは斜めにもって削る方法です。
もっとあるかもしれませんが、僕の周りではこの二つが主流です。ちなみに僕は後者のほうです。
おわりに
フィールドワーク用の調査道具ってこだわりがありますよね。僕はあります。
根掘りというニッチな道具だけでもいろいろありますし、スコップなど他の調査道具もいずれ紹介できればと思います。
ちなみに、うちの研究室では軍用の折り畳みスコップを使っているとかいないとか・・。
編集後記 by くまがい
くまがい : これ、シャベルじゃないの・・・?
こばやし : いや、根ほりです!
くまがい : 一位のやつだけ全く別の道具に見えるんだけど・・・?
こばやし : いえ、ぜんぶ根ほりです!用途が同じなので!
根ほりだそうです。
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