- Zoonotic risk factors associated with seroprevalence of Ebola virus GP antibodies in the absence of diagnosed Ebola virus disease in the Democratic Republic of Congo
(コンゴ民主共和国でエボラウイルス病と診断されていない場合のエボラウイルスGP抗体の血清有病率に関連する人獣共通の危険因子)
を読んで…
論文の概要
この論文はコンゴ民主共和国でエボラウイルス病と診断されていない人を対象とした、GP抗体の血清有病率に関連する人獣共通感染症の危険因子について述べている論文でした。
材料と方法
サンプルはブエンデ、カボンドディアンダ、キクウィト、ヤンブクの4箇所から計1,366人の血清サンプルを使用して行われました。これらのサンプルを使用して、EBOV GPを抗原としてEBOV GPIgGに対する血清反応性をELISA法(Alpha Diagnostic International, Inc.)を使用して行われました。血清反応の基準は他の論文をもとにして、4.7 units/mLで行われました。さらにこの結果をもとにして、年齢、性別、医療従事者別に区別して統計的分析が行われました。
結果
今回行われた実験では血清反応が示された患者数は全体の内、113人(8.3%)に上りました。また、サンプルのほとんどは男性で(62.6%)、26~59歳(78.7%)でした。なお興味深いことに、陽性者のうち3分の2は牧師や医療現場で働いている人々でした。
僕の感想
僕はこの論文を読んで、ほかの感染症(SARS-CoV-2, Influenza, Lassa, Nipah)と比較し、どの感染症にも不顕性感染又は非申告者が一定数存在することが分かり、これからは申告者だけではなくこの様な人々についても心理的、ウイルス学的など様々なアプローチで調査していく必要性があることがわかりました。また、このような調査は様々な感染症で、様々な場所を対象として調査すると意外性があり、面白そうだなと思いました。 - Reservoir host studies of Lloviu virus: first isolation, sequencing and serology in Schreiber’s bats in Europe
(Lloviuウイルスの保存宿主研究:ヨーロッパのSchreiberコウモリにおける最初の分離、配列決定、血清検査)
を読んで…
論文の概要
この論文ではMiniopterus schreibersiiとコウモリに外部寄生するハエから分離された、感染性のLloviu cuevavirus(以後LLOV)の初めての分離例について述べている論文でした。
僕の一言感想
これまでフィロウイルスはコウモリ、サル、ブタなど多岐にわたる種類の哺乳動物から検出されていましたが、分離に至っている種はマールブルグウイルスのみでした1, 2)。その為、今回LLOVが分離されたのはフィロウイルス科において2種類めであり、とても興味深い結果だと思いました。
また、今回の分離では驚くことにコウモリと寄生ハエの両方から分離されたため、将来これをもとにアフリカでも寄生生物におけるフィロウイルスの検出を行ってみたいです。 - Field Investigations of an Outbreak of Ebola Hemorrhagic Fever, Kikwit, Democratic Republic of the Congo, 1995: Arthropod Studies
(1995年にコンゴ民主共和国のキクウィットで発生したエボラ出血熱の現地調査。節足動物の研究)
を読んで…
論文の概要
この論文は過去のキクウィトで発生したエボラ出血熱の6か月間に上る流行の自然史を明らかにするために節足動物を対象としたサンプリングに関する研究でした。
材料と方法
今回の研究では、キクウィトにてサンプル用節足動物が1995年6月10日から7月14日までライトトラップやその他トラップを使用して収集されました。初めは吸血種に焦点を当てていましたが、非吸血種節足動物のサンプルもサンプリングされました。
サンプルはキクウィトの研究室に運ばれ、短時間、低温による固定が行われました。その後、アメリカに輸送されプールされたのちに-70℃で保存されました。その後モルモットへの頭蓋内接種とVero細胞による培養がBSL4研究室にて行われました。
結果
計34,985の節足動物標本が収集され、その内27,843がウイルス分離のために選択され、FamilyまたはSpeciesごとに識別されました。また、テストされた15,118匹(54%)の蚊のうち、4,651匹(31%)はネッタイイエカとアノフェレス(セリア)種(おそらくガンビエハマダラカ)であり、これらはすべてキクウィトの都市部の屋内で捕獲されました。
その後、培養が試みられましたが、どのスーパープールからもEBOウイルスは分離されませんでした。屋内サイトでバックパック吸引器によって捕獲されたハマダラカ(セリア)種のスーパープールから、ブニヤウイルス(ブワンバグループ)の単一の分離株が作成されました。その後、ウイルスは市内の家の中から来た元のプールから再分離されました。他の分離株は作成されませんでした。
僕の一言感想
フィロウイルスの分離は②で述べたように現在2種類のみ行われており、今後様々な場所や動物種で発見されることが期待できました。また、この研究では分離には至りませんでしたが、②の論文ではハエからの分離に成功しているため、コウモリに関連する節足動物を対象に再調査をしたら面白そうかなと思いました。 - アレナウイルス感染症
を読んで…
論文の概要
この論文はアレナウイルスに関する基礎知識や最近(2012年)の知見について述べている総説論文でした。
この論文で出てきた用語
・TfR1…トランスフェリン受容体
・α-DG…アルファジストログリカン
・3′-5’エクソリボヌクレアーゼ…インターフェロン抑制酵素
・SSP…アレナウイルスに共通的に保存されている58アミノ酸からなるシグナルペプチド
続きは本文で(笑)
僕の一言感想
この論文でアレナウイルスの基本的なゲノム、レセプター、細胞内輸送、免疫回避について述べており、とても分かりやすく理解することができました。
また、僕は面白そうなウイルスを調べようとするときは基本的に日本語の総説論文を一番初めに読むように心がけているため、今後アレナウイルスについても学んでいきたいと考えています。 - Optimizing noninvasive sampling of a zoonotic bat virus
(人獣共通コウモリウイルスの非侵襲的サンプリングの最適化)
を読んで…
論文の概要
この論文ではねぐら下シートサンプリングについて理論的に研究することでサンプリングバイアスを定量化する方法を述べていました。
僕の一言感想
僕には数学が多かったのでよくわかりませんでした。統計学をもっと学ばないといけないことを身に染みて実感できたためそろそろ統計学の本でも買って勉強しようと思います。 - Uncovering Viral Protein-Protein Interactions and their Role in Arenavirus Life Cycle
(ウイルスのタンパク質間相互作用とアレナウイルスのライフサイクルにおけるそれらの役割の解明)
を読んで…
論文の概要
この論文ではアレナウイルスの細胞内ライフサイクルにおけるZタンパク質の重要性について述べている総説っぽい論文でした。
この論文で出てきた知識
この論文では、Zタンパク質を中心にNP, L, GPとの相互作用に焦点を当てて現在(2012年)解明されている知識を紹介していました。
登場したこの論文の知識は以下の通りです。
・Zタンパク質はLポリメラーゼと直接相互作用してウイルスRNA合成を阻害する。
・LにおけるSDDドメインとH1189がZとの相互作用に密接に関連している。
・ZはLの触媒予測部位に対するアンタゴニストとして働く。
・NPは哺乳類細胞内でNP同士の複合体を形成して多量体を形成することができる。
・LASVにおけるヌクレオカプシドの接触にはL91が必須。
・MopeiavirusはYLCLモチーフを保持しておりESCRTに関連するAlix/AIP1との相互作用に関係している。
・Z-N複合体はGPの発現量に影響する。
etc…
僕の一言感想
この論文ではアレナウイルスの細胞内ライフサイクルにおけるZタンパク質の重要性がとてもよくわかり面白かったです。また、アレナウイルスはまだわかっていないことも多く、とても興味深いウイルスであることもこの論文から分かりました。 - Review of Mammarenavirus Biology and Replication
(Mammaarenavirusの生物学と複製の総説)
を読んで…
論文の概要
この論文ではMammarenavirusにおける知見を述べている総説論文でした。
論文の知識
・レセプター:TAM family tyrosine kinase receptor群, TIM family receptor群, C-type lectin, AxI, JuninvirusにおいてはVGCC(Ca2+チャネル)
・GP1がLAMP-1と結合してGP2融合活性を補助している因子となっている(Lujovirusの場合は LAMP-1の代わりにCD63)
・Lには4つのドメインがあり、1は複製サイクル中の転写に重要な5’mRNAキャップの獲得を促進すると仮定されたエンドヌクレアーゼドメインが含まれている。
・ドメイン3にはRdRpの要素として識別される保存された配列が含まれている。
・ドメイン2, 4には安定性、調節、またはその他のタンパク質間相互作用に関連する可能性が示唆されている。
・GPCは小胞体で翻訳され、そこでN-結合型グリコシル化とSPaseによるGP1 / GP2からのSSPの切断を受ける。
etc…
僕の一言感想
この総説論文では分かりやすくウイルスの詳しいライフサイクルと構造について書いてあったためとても理解がしやすかったです。
また、アレナウイルスはアンビセンス構造ということもあって中々理解が難しいことも分かりました。 - Receptor use by the Whitewater Arroyo virus glycoprotein
(ホワイトウォーターアロヨウイルス糖タンパク質による受容体の使用)
を読んで…
論文の概要
この論文ではホワイトウォーターアロヨウイルスの受容体とヒトに対する病原性について述べている論文でした。
結果
結果は“非病原性の”NW Arenavirus Clade Bと類似率が最も高く、このウイルスは“病原性の”Clade Bに共通するhumanTfR1を特異的レセプターとせず、WWAVはヒトに対して非病原性である可能性が高いことがわかりました。
僕の一言感想
WWAVのレセプターが何なのか気になったのでもう少し詳しく勉強しようと思いました。 - Genetic Diversity among Lassa Virus Strains
(ラッサウイルス株間の遺伝的多様性)
を読んで…
論文の概要
この論文では時間や場所におけるラッサウイルスの遺伝的多様性について述べている論文でした。
材料と方法
今回使用した分離株・臨床サンプルはCDC特殊病原体対策支部から入手したものを使用しました。その後、RNA抽出→RT-PCR→sRNA配列クローニング→シークエンス決定→系統発生および統計的分析の順で分析が行われました。
結果
いくつかある結果の中で特に興味深かった結果のみを示すと、ラッサウイルス遺伝的多様性は時間ではなく、地理的な距離と相関を持っていることが分かりました。
僕の一言感想
この論文で行った研究を現在GenBankに上がっているものを使用して自分でも分析してみたいと思いました。また、この分析方法をほかのウイルスにも応用すると意外性が見つかるかもしれないと思い興味がわきました!。 - New Hosts of The Lassa Virus
(ラッサウイルスの新しい宿主)
を読んで…
論文の概要
この論文ではこれまでのラッサウイルスの宿主(Mastomys natalensis)の代替宿主について述べている論文でした。
材料と方法
今回使用したサンプルはナイジェリア南西部に位置するKako、ナイジェリア東部のOnmba Abena、ギニア沿岸部Madina Oulaから取得されました。その後、完全なゲノム配列の決定→系統発生解析の順で行われました。
結果
結果として、H. pamfiとM. erythroleucusからラッサウイルスが検出されたため、この二種類の齧歯類がラッサウイルスの宿主であることが明らかになりました。
僕の一言感想
この論文を読んで僕もいつかウイルスの分離と検出を行ってみたいという思いが強くなりました。 - Molecular Mechanism for LAMP1 Recognition by Lassa Virus
(ラッサウイルスによるLAMP1認識の分子メカニズム)
を読んで…
論文の概要
この論文では、生化学、構造生物学を使用して、LAMP1とGPCのbinding mechanismについて述べている論文でした。
材料と方法
今回使用した材料はESF-921細胞培養培地とそのほか発現ベクター作成系のツールでした。
これらを使用して発現ベクターの構築→タンパク質の発現と精製→結晶化→データ収集→保全分析→プルダウン法→SPR測定→ELISA→CD分析の順で分析が行われました。
結果
Zoonotic risk factors associated with seroprevalence of Ebola virus GP antibodies in the absence of diagnosed Ebola virus disease in the Democratic Republic of Congo
(コンゴ民主共和国でエボラウイルス病と診断されていない場合のエボラウイルスGP抗体の血清有病率に関連する人獣共通の危険因子)
を読んで…
論文の概要
この論文はコンゴ民主共和国でエボラウイルス病と診断されていない人を対象とした、GP抗体の血清有病率に関連する人獣共通感染症の危険因子について述べている論文でした。
材料と方法
サンプルはブエンデ、カボンドディアンダ、キクウィト、ヤンブクの4箇所から計1,366人の血清サンプルを使用して行われました。これらのサンプルを使用して、EBOV GPを抗原としてEBOV GPIgGに対する血清反応性をELISA法(Alpha Diagnostic International, Inc.)を使用して行われました。血清反応の基準は他の論文をもとにして、4.7 units/mLで行われました。さらにこの結果をもとにして、年齢、性別、医療従事者別に区別して統計的分析が行われました。
結果
今回行われた実験では血清反応が示された患者数は全体の内、113人(8.3%)に上りました。また、サンプルのほとんどは男性で(62.6%)、26~59歳(78.7%)でした。なお興味深いことに、陽性者のうち3分の2は牧師や医療現場で働いている人々でした。
僕の感想
僕はこの論文を読んで、ほかの感染症(SARS-CoV-2, Influenza, Lassa, Nipah)と比較し、どの感染症にも不顕性感染又は非申告者が一定数存在することが分かり、これからは申告者だけではなくこの様な人々についても心理的、ウイルス学的など様々なアプローチで調査していく必要性があることがわかりました。また、このような調査は様々な感染症で、様々な場所を対象として調査すると意外性があり、面白そうだなと思いました。 - Reservoir host studies of Lloviu virus: first isolation, sequencing and serology in Schreiber’s bats in Europe
(Lloviuウイルスの保存宿主研究:ヨーロッパのSchreiberコウモリにおける最初の分離、配列決定、血清検査)
を読んで…
論文の概要
この論文ではMiniopterus schreibersiiとコウモリに外部寄生するハエから分離された、感染性のLloviu cuevavirus(以後LLOV)の初めての分離例について述べている論文でした。
僕の一言感想
これまでフィロウイルスはコウモリ、サル、ブタなど多岐にわたる種類の哺乳動物から検出されていましたが、分離に至っている種はマールブルグウイルスのみでした1, 2)。その為、今回LLOVが分離されたのはフィロウイルス科において2種類めであり、とても興味深い結果だと思いました。
また、今回の分離では驚くことにコウモリと寄生ハエの両方から分離されたため、将来これをもとにアフリカでも寄生生物におけるフィロウイルスの検出を行ってみたいです。 - Field Investigations of an Outbreak of Ebola Hemorrhagic Fever, Kikwit, Democratic Republic of the Congo, 1995: Arthropod Studies
(1995年にコンゴ民主共和国のキクウィットで発生したエボラ出血熱の現地調査。節足動物の研究)
を読んで…
論文の概要
この論文は過去のキクウィトで発生したエボラ出血熱の6か月間に上る流行の自然史を明らかにするために節足動物を対象としたサンプリングに関する研究でした。
材料と方法
今回の研究では、キクウィトにてサンプル用節足動物が1995年6月10日から7月14日までライトトラップやその他トラップを使用して収集されました。初めは吸血種に焦点を当てていましたが、非吸血種節足動物のサンプルもサンプリングされました。
サンプルはキクウィトの研究室に運ばれ、短時間、低温による固定が行われました。その後、アメリカに輸送されプールされたのちに-70℃で保存されました。その後モルモットへの頭蓋内接種とVero細胞による培養がBSL4研究室にて行われました。
結果
計34,985の節足動物標本が収集され、その内27,843がウイルス分離のために選択され、FamilyまたはSpeciesごとに識別されました。また、テストされた15,118匹(54%)の蚊のうち、4,651匹(31%)はネッタイイエカとアノフェレス(セリア)種(おそらくガンビエハマダラカ)であり、これらはすべてキクウィトの都市部の屋内で捕獲されました。
その後、培養が試みられましたが、どのスーパープールからもEBOウイルスは分離されませんでした。屋内サイトでバックパック吸引器によって捕獲されたハマダラカ(セリア)種のスーパープールから、ブニヤウイルス(ブワンバグループ)の単一の分離株が作成されました。その後、ウイルスは市内の家の中から来た元のプールから再分離されました。他の分離株は作成されませんでした。
僕の一言感想
フィロウイルスの分離は②で述べたように現在2種類のみ行われており、今後様々な場所や動物種で発見されることが期待できました。また、この研究では分離には至りませんでしたが、②の論文ではハエからの分離に成功しているため、コウモリに関連する節足動物を対象に再調査をしたら面白そうかなと思いました。 - アレナウイルス感染症
を読んで…
論文の概要
この論文はアレナウイルスに関する基礎知識や最近(2012年)の知見について述べている総説論文でした。
この論文で出てきた用語
・TfR1…トランスフェリン受容体
・α-DG…アルファジストログリカン
・3′-5’エクソリボヌクレアーゼ…インターフェロン抑制酵素
・SSP…アレナウイルスに共通的に保存されている58アミノ酸からなるシグナルペプチド
続きは本文で(笑)
僕の一言感想
この論文でアレナウイルスの基本的なゲノム、レセプター、細胞内輸送、免疫回避について述べており、とても分かりやすく理解することができました。
また、僕は面白そうなウイルスを調べようとするときは基本的に日本語の総説論文を一番初めに読むように心がけているため、今後アレナウイルスについても学んでいきたいと考えています。 - Optimizing noninvasive sampling of a zoonotic bat virus
(人獣共通コウモリウイルスの非侵襲的サンプリングの最適化)
を読んで…
論文の概要
この論文ではねぐら下シートサンプリングについて理論的に研究することでサンプリングバイアスを定量化する方法を述べていました。
僕の一言感想
僕には数学が多かったのでよくわかりませんでした。統計学をもっと学ばないといけないことを身に染みて実感できたためそろそろ統計学の本でも買って勉強しようと思います。 - Uncovering Viral Protein-Protein Interactions and their Role in Arenavirus Life Cycle
(ウイルスのタンパク質間相互作用とアレナウイルスのライフサイクルにおけるそれらの役割の解明)
を読んで…
論文の概要
この論文ではアレナウイルスの細胞内ライフサイクルにおけるZタンパク質の重要性について述べている総説っぽい論文でした。
この論文で出てきた知識
この論文では、Zタンパク質を中心にNP, L, GPとの相互作用に焦点を当てて現在(2012年)解明されている知識を紹介していました。
登場したこの論文の知識は以下の通りです。
・Zタンパク質はLポリメラーゼと直接相互作用してウイルスRNA合成を阻害する。
・LにおけるSDDドメインとH1189がZとの相互作用に密接に関連している。
・ZはLの触媒予測部位に対するアンタゴニストとして働く。
・NPは哺乳類細胞内でNP同士の複合体を形成して多量体を形成することができる。
・LASVにおけるヌクレオカプシドの接触にはL91が必須。
・MopeiavirusはYLCLモチーフを保持しておりESCRTに関連するAlix/AIP1との相互作用に関係している。
・Z-N複合体はGPの発現量に影響する。
etc…
僕の一言感想
この論文ではアレナウイルスの細胞内ライフサイクルにおけるZタンパク質の重要性がとてもよくわかり面白かったです。また、アレナウイルスはまだわかっていないことも多く、とても興味深いウイルスであることもこの論文から分かりました。 - Review of Mammarenavirus Biology and Replication
(Mammaarenavirusの生物学と複製の総説)
を読んで…
論文の概要
この論文ではMammarenavirusにおける知見を述べている総説論文でした。
論文の知識
・レセプター:TAM family tyrosine kinase receptor群, TIM family receptor群, C-type lectin, AxI, JuninvirusにおいてはVGCC(Ca2+チャネル)
・GP1がLAMP-1と結合してGP2融合活性を補助している因子となっている(Lujovirusの場合は LAMP-1の代わりにCD63)
・Lには4つのドメインがあり、1は複製サイクル中の転写に重要な5’mRNAキャップの獲得を促進すると仮定されたエンドヌクレアーゼドメインが含まれている。
・ドメイン3にはRdRpの要素として識別される保存された配列が含まれている。
・ドメイン2, 4には安定性、調節、またはその他のタンパク質間相互作用に関連する可能性が示唆されている。
・GPCは小胞体で翻訳され、そこでN-結合型グリコシル化とSPaseによるGP1 / GP2からのSSPの切断を受ける。
etc…
僕の一言感想
この総説論文では分かりやすくウイルスの詳しいライフサイクルと構造について書いてあったためとても理解がしやすかったです。
また、アレナウイルスはアンビセンス構造ということもあって中々理解が難しいことも分かりました。 - Receptor use by the Whitewater Arroyo virus glycoprotein
(ホワイトウォーターアロヨウイルス糖タンパク質による受容体の使用)
を読んで…
論文の概要
この論文ではホワイトウォーターアロヨウイルスの受容体とヒトに対する病原性について述べている論文でした。
結果
結果は“非病原性の”NW Arenavirus Clade Bと類似率が最も高く、このウイルスは“病原性の”Clade Bに共通するhumanTfR1を特異的レセプターとせず、WWAVはヒトに対して非病原性である可能性が高いことがわかりました。
(後日人への病原性が気になったので調べた結果、1999年6月から2000年5月にかけて3人の女性が肝不全を伴う出血熱症状でなくなっていることがわかりました。)
僕の一言感想
WWAVのレセプターが何なのか気になったのでもう少し詳しく勉強しようと思いました。 - Genetic Diversity among Lassa Virus Strains
(ラッサウイルス株間の遺伝的多様性)
を読んで…
論文の概要
この論文では時間や場所におけるラッサウイルスの遺伝的多様性について述べている論文でした。
材料と方法
今回使用した分離株・臨床サンプルはCDC特殊病原体対策支部から入手したものを使用しました。その後、RNA抽出→RT-PCR→sRNA配列クローニング→シークエンス決定→系統発生および統計的分析の順で分析が行われました。
結果
いくつかある結果の中で特に興味深かった結果のみを示すと、ラッサウイルス遺伝的多様性は時間ではなく、地理的な距離と相関を持っていることが分かりました。
僕の一言感想
この論文で行った研究を現在GenBankに上がっているものを使用して自分でも分析してみたいと思いました。また、この分析方法をほかのウイルスにも応用すると意外性が見つかるかもしれないと思い興味がわきました!。 - New Hosts of The Lassa Virus
(ラッサウイルスの新しい宿主)
を読んで…
論文の概要
この論文ではこれまでのラッサウイルスの宿主(Mastomys natalensis)の代替宿主について述べている論文でした。
材料と方法
今回使用したサンプルはナイジェリア南西部に位置するKako、ナイジェリア東部のOnmba Abena、ギニア沿岸部Madina Oulaから取得されました。その後、完全なゲノム配列の決定→系統発生解析の順で行われました。
結果
結果として、H. pamfiとM. erythroleucusからラッサウイルスが検出されたため、この二種類の齧歯類がラッサウイルスの宿主であることが明らかになりました。
僕の一言感想
この論文を読んで僕もいつかウイルスの分離と検出を行ってみたいという思いが強くなりました。 - Molecular Mechanism for LAMP1 Recognition by Lassa Virus
(ラッサウイルスによるLAMP1認識の分子メカニズム)
を読んで…
論文の概要
この論文では、生化学、構造生物学を使用して、LAMP1とGPCのbinding mechanismについて述べている論文でした。
材料と方法
今回使用した材料はESF-921細胞培養培地とそのほか発現ベクター作成系のツールでした。
これらを使用して発現ベクターの構築→タンパク質の発現と精製→結晶化→データ収集→保全分析→プルダウン法→SPR測定→ELISA→CD分析の順で分析が行われました。
結果
今回の論文は結果をまとめるのが大変だったので割愛させていただきます。
僕の一言感想
今回の研究ではラッサウイルスの免疫回避やLAMP-1との結合メカニズムについて書かれていますが、深いやり方やそのほか難しいところが分からなかったので、もう少し勉強しようと思いました。 - Ebola virus: The role of macrophages and dendritic cells in the pathogenesis of Ebola hemorrhagic fever
(エボラウイルス:エボラ出血熱の病因におけるマクロファージと樹状細胞の役割)
を読んで…
論文の概要
この論文ではエボラウイルス感染による免疫応答に関する知識を紹介している総説っぽい論文でした。
論文の知識
・エボラが感染するとまず、マクロファージでNF-κBが核内輸送され、TNF-α, IL-1β, MIP-1α等のケモカインを分泌します。
・感染したマクロファージはVIIaやX等の外因性凝固経路を誘発し、TFを合成することにより血液凝固(DIC)を促進します。
・次に樹状細胞に感染するとTNF-α, IL-6, IL-8, MIP-1αを伴う強い炎症を発生させ、CD40, CD80, CD86, MHC-I, MHC-IIをアップレギュレーションさせることで抗原提示表現型に変換されました。
・最後にエボラウイルスはリンパ球に感染しないが、アポトーシスをTNF-α, Fasを使用することで促進できました。
僕の一言感想
この論文はだいぶ前に読んだもので、忘れかけていたので再び読めてよかったです!!! - Biofilms and Coronavirus Reservoirs: a Perspective Review
(バイオフィルムとコロナウイルスリザーバー:展望レビュー)
を読んで…
論文の概要
この論文ではバイオフィルムを使用した感染性ビリオンの持続とビリオン拡散について書かれた論文であり、エマージングウイルスのバイオフィルムを使用したライフサイクルについて述べている論文でした。
僕の一言感想
zoonotic emerging virusのスピルオーバーについて独創的な視点で観察している研究で、従来のウイルス学からは少しはみ出た感じがして面白かったです。 - Marburg and Ebola virus infections elicit a muted inflammatory state in bats
(マールブルグおよびエボラウイルス感染は、コウモリの炎症状態を抑制します)
を読んで…
論文の概要
この論文ではEBOV, MARVにそれぞれ感染させたコウモリの免疫反応を知るためにトランスクリプトーム、RNA-Seq解析を使用して遺伝子レベルでコウモリの免疫応答について述べている論文でした。
論文の結論
感染したコウモリで観察された遺伝子発現パターンの変化は、凝固、血管拡張、鉄の恒常性、炎症、インターフェロン応答、および適応応答を調節する経路が、フィロウイルス感染に対するコウモリの独特の応答に寄与することを示唆しています。
僕の一言感想
解析系の論文にしては少し長く、読むのに体力を必要としました。しかし、この論文を読んでコウモリの生存力の高さ、ユニークさを改めて知ることができ、とても興味をそそられました。 - First insights into the structural features of Ebola virus methyltransferase activities
(エボラウイルスメチルトランスフェラーゼ活性の構造的特徴への最初の洞察)
を読んで…
論文の概要
この論文ではメチルトランスフェラーゼの構造と機能について述べている論文でした。
材料と方法
今回使用した材料はスーダンエボラウイルスのL(RNA-dependent RNA polymerase)とその他タンパク質分析用試薬等でした。
これらを使用して、クローニングと発現→組み換えタンパク質の精製→SUDVメチルトランスフェラーゼドメインに対するVHHの生成→VHHの発現と複製→SUDVメチルトランスフェラーゼ-VHHヘテロダイマーの精製→結晶学とX線結晶学→ドメインの比較、欠落しているループのモデリング、構造解析→RNA基質の合成→メチルトランスフェラーゼ活性アッセイの順で分析が行われました。
結果
最終的に比較された結果、アデノシン-2′- O-メチル化にはLのメチルトランスフェラーゼドメインが深く関与していることが示されました。
僕の一言感想
Lには潜在的な様々な機能が存在することがこの論文からわかり、とても興味をそそられました。
また、Lはフィロウイルス以外のモノネガウイルスにも共通している部位が多いため、今回の研究はフィロのみならず様々なモノネガウイルスにも精通すると思い感動しました。 - Isolation and Characterization of Whitewater Arroyo Virus, a Novel North American Arenavirus
(新規北米アレナウイルスであるホワイトウォーターアロヨウイルスの分離と特性化)
を読んで…
論文の概要
この論文では、北アメリカにて1996年にノドジロウッドラットから新たに発見されたWWAVのNPを対象に系統解析を行ったという内容が述べられていました。
結果
WWAVは系統的にTamiamivirus, Pichindevirusなどに近かったため、New world arenvirusのClade Aに分類されました。
僕の一言感想
この論文を読んで、このウイルスについて、深く知りたくなったためほかの論文も読みたいと感じました。 - The Whitewater Arroyo Virus: Natural Evidence for Genetic Recombination
(ホワイトウォーターアロヨウイルス:タカリベ血清複合体ウイルス(アレナビリダエ科)間の遺伝子組換えの自然な証拠)
を読んで…
論文の概要
この論文は、ホワイトウォーターアロヨウイルス(WWAV)の遺伝子が新世界アレナウイルスのClade A, Clade Bの両方がクロスオーバーする事で成り立っている事について述べている論文でした。
結果
系統解析(NJ, MP)の結果、WWAVのNはClade Aから、WWAVのGPCはClade Bからそれぞれ受け継がれていることがわかりました。また、この結果からWWAVは宿主動物の中で2種類のウイルスが合併感染して生じると考えることができます。
僕の一言感想
今回の論文を読んで、WWAVはClade AともClade Bともいえないことがわかり、とても興味深かったです。また、GPCがClade Bに近いということは、TfR1がレセプターとなるのかが気になりました。 - Comparison of the Innate Immune Responses to Pathogenic and Nonpathogenic Clade B New World Arenaviruses
(病原性および非病原性のクレードB新世界アレナウイルスに対する自然免疫応答の比較)
を読んで…
論文の概要
この論文は、Junin virus(JUNV)とTacaribe virus(TCRV)の免疫応答について述べている論文でした。
材料と方法
使用した材料と方法はA549細胞、pseudotypeJUNV、TCRVを使用し、RT2-PCR arraysを使用して、ISGとIFNの増加について二つのウイルス間で比較しました。
結果
TCRVはJUNVよりも強くIFN-Iを誘導することが明らかになりました。ここから、JUNVNPとJUNVZはTCRVNPとTCRVZよりも強くIFN-I拮抗阻害を行うことが分かりました。
僕の一言感想
RT2-PCR arraysを使用した解析はとても興味をそそられました。また、NWarenaの免疫回避メカニズムが少しわかり、面白かったです。 - RIG-I Enhanced Interferon Independent Apoptosis upon Junin Virus Infection
(フニンウイルス感染時のRIG-I強化インターフェロン非依存性アポトーシス)
を読んで…
論文の概要
この論文は、フニンウイルス感染における細胞のアポトーシス誘導がインターフェロンではなく、RIG-Iによるものと述べている論文でした。
結果
インターフェロンではあまりアポトーシスが誘導されなかったが、RIG-Iではとても誘導されました。
その為、JUNVではアポトーシス誘導をRIG-Iが制御していると考えられます。
僕の一言感想
JUNVはClade Bの病原性ウイルスのため、WWAVにも共通する点があるのではと思い、読んでみたのですが、共通するかどうかはよくわかりませんでした(笑) - The small RING finger protein Z drives arenavirus budding: Implications for antiviral strategies
(小さなRINGフィンガープロテインZがアレナウイルスの出芽を促進する:抗ウイルス戦略への影響)
を読んで…
論文の概要
この論文は、アレナウイルスのZがウイルスバディングに関与していることを示唆している論文でした。
結果
Tsg101をターゲットとしたsiRNAを使用したRNAiではウイルス粒子のバディングが著しく減少していることがわかりました。
僕の一言感想
マトリックスタンパク質のバディング関連モチーフは様々なウイルス(フィロウイルス)にも共通する部位が多いため、同じウイルス目の中で比較解析して見たら面白いかもしれないと思いました。 - Inhibition of arenavirus entry and replication by the cell-intrinsic restriction factor ZMPSTE24 is enhanced by IFITM antiviral activity
(細胞固有の制限因子ZMPSTE24によるアレナウイルスの侵入と複製の阻害は、IFITM抗ウイルス活性によって強化されます)
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論文の概要
この論文は、アレナウイルスの細胞内阻害において重要な因子であるZMPSTE24とIFITMの関係と阻害効果について述べた論文でした。
結果
ZMSTE24はアレナウイルスの細胞侵入の際に、IFITMはアレナウイルスのエンドソームクリベージの際に作用し、阻害しました。
僕の一言感想
この論文を読んで、ZMPSTE24やIFITMのような因子以外にもこのような阻害因子があるのか気になりました。 - Cap binding and immune evasion revealed by Lassa nucleoprotein structure
(ラッサ核タンパク質構造によって明らかにされたキャップ結合と免疫回避)
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論文の概要
この論文は、NPのX線結晶解析のデータをもとに、NPの特徴について述べている論文でした。
結果
NPのCドメインには3′-5’エキソリボヌクレアーゼ活性が含まれており、宿主細胞のPAMPを阻害することで、PRRを不活化し、のちに続くIFN応答を行えなくする、IFN阻害機能が存在することが明らかになりました。
また、NPのNドメインにはウイルスRNAトランスクリプションに必要なm7GpppNが存在し、インフルエンザ等と同じようなCap snatchingを行って効率的にRNA転写を行っていることが明らかになりました。
僕の一言感想
Cap snatchingを行うウイルスを今まで、深く学んだことがなかったので、とても興味深い内容でした。 - Inhibition of Innate Immune Responses Is Key to Pathogenesis by Arenaviruses
(自然免疫応答の阻害はアレナウイルスによる病因の鍵です)
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論文の概要
この論文では、アレナウイルスのNPとZを使用した自然免疫応答の阻害メカニズムについて述べた論文でした。
結果
NPとZはそれぞれ、PAMP, RIG-I, MDA5, p50, p65, IKKε, MAVSを阻害することで、それ以降の免疫応答(IRF3, IRF7の核輸送等)が行えなくなることがわかりました。
また、ZはMAVSのCARDという領域を阻害することでMAVSを阻害することができることが分かりました。
僕の一言感想
この論文を読んで、免疫ウイルス学は理解するのが大変ではあるが、面白いことがわかりました。 - Arenavirus Glycan Shield Promotes Neutralizing Antibody Evasion and Protracted Infection
(アレナウイルスグリカンシールドは中和抗体の回避と長期の感染を促進します)
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論文の概要
この論文では、グリコシル化が主にGP1特異的抗体誘導を妨げないが、中和するこれらの抗体の能力を損なうことについて述べている論文でした。
結果
グリコシル化しているGPは得意抗体誘導は通常通り行われたが、中和抗体は中和能力を失うことが明らかになりました。
僕の一言感想
この論文を読んで、FiloのsGP, ssGPのような面白さはないが、独自の免疫回避を保持していることが分かり、興味深かったです。 - DDX3 suppresses type I interferons and favors viral replication during Arenavirus infection
(DDX3は、I型インターフェロンを抑制し、アレナウイルス感染時のウイルス複製を促進します)
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論文の概要
NPと相互作用するタンパク質をプロテオーム解析を使用して特定し、そのたんぱく質の機能について述べている論文でした。
結果
DDX3はNPと相互作用してtype1-IFNを阻害することがプロテオーム解析とネガティブコントロールによる比較解析で明らかになりました。
僕の一言感想
相互作用するタンパク質について調べたい場合、プロテオーム解析を行うのが効率的かつ、正確であることが分かりました。 - A novel nairovirus associated with acute febrile illness in Hokkaido, Japan
(日本の北海道における急性発熱性疾患に関連する新規ナイロウイルス)
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論文の概要
この論文では、北海道で新たに見つかった“エゾウイルス”について述べている論文でした。
結果
41歳と59歳の患者2名からRT-qPCRによって新型オルソナイロウイルスが分離されました。
僕の一言感想
今回の論文を読んで、日本にも面白そうなウイルスが存在することを改めて実感させられました。
小さなウイルスマニアの今月読んだ論文 #1 [2021/9]

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ウイルス関連の論文を読むのが趣味の中学生(@mnswAls69HvSTyZ)による、一ヶ月に読んだ論文を淡々と挙げていく連載企画。